一人暮らしの秋冬の夜ごはんはだいたい鍋。
最近は鍋つゆのレパートリーも増え、手軽にいろんな鍋を楽しめるようになった。
子どもの頃は、我が家の鍋は寄せ鍋一択。たぶん魚と野菜が中心で、子ども的にはそんなに心躍るメニューではなかったような覚えがある。今は、実家でもほかの味の鍋もやるようになったが、大人になったら実家の寄せ鍋も大好きになった。父は、40を過ぎた娘にもお肉を優先して取り分けてくるので、「わたしももう立派な中年だよ」と言いたくなるがぐっとこらえている。
大学生になってキムチ鍋を覚えた。当時は「鍋の素なんか邪道だ!」と言いながら、キムチ鍋の素を使わずにキムチ鍋をつくることになぜかこだわっていて、キムチと味噌を買って、よく友達と宅飲みをしたものだった。締めはうどんかごはんか。若いからいくらでも食べられたし飲んでいた。とにかく当時は「この世の中に、鍋はキムチ鍋しかないのか?」というくらい、キムチ鍋ばかりやっていた。仲間と食べられたら何鍋でも美味しいってことだったんだろう。
ちなみに20年経った今は、キムチ鍋の素が冷蔵庫に常備されていて、わたしの人生においてなくてはならない存在。メーカーのみなさんありがとう。
結婚して義両親と同居していた頃、わたしが夜ごはん当番の時には「楽だから鍋でいいよ」という姑の言葉に甘えて、よく鍋を作ったものだった。このころから鍋の素をよく使うようになったが、寄せ鍋とか、鶏だしとか、魚介だしとか、あまり変わった鍋つゆは使っていなかった。当時、義理の両親と私の3人では締めまでたどりつかなかったので、翌日の朝の味噌汁代わりにもなった。
一人暮らしにもどり、圧倒的に鍋の登場率が高くなった。一人用の小さい土鍋で、自分が食べるためだけに好きなように作るのは気楽でいい。最近は一人鍋用のスープのバラエティも増えて助かっている。ひとりの時はキムチが多いけど、誰かと食べるときはその日の気分に合わせて選ぶ。豆乳も好きだけど、それでもやっぱり出番が多いのはキムチかな。しかし、日本人はなぜこんなにもキムチ鍋を愛するのか。
これを書いている今日も寒い。10月に入っても暑い日が続いていたけど、いよいよ冬到来。風笑堂も底冷えするようになってきた。ことしもマイペースに鍋を楽しもう。